Céléjour
暮らしのこと

梅雨明け前に、片づいた部屋の余白が心を軽くしてくれるという話

梅雨明けが近づくこの時期、洗濯物や書類、届いたばかりの荷物の空き箱――気づけば部屋の隅にものが積み重なっていることはないでしょうか。忙しさに追われるほど片づけは後回しになり、その散らかりが、いつのまにか心の重さとして返ってくる。そんな感覚を、私たちはこれまで多くの方から伺ってきました。

「片づいていない部屋」が、コルチゾールにまで影響する

南カリフォルニア大学のダービー・サックスビー氏らの研究チームは、共働き夫婦の自宅を撮影・分析し、自分の部屋を「散らかっている」「片づいていない」と語った女性ほど、一日の終わりのコルチゾール値が高いまま下がりにくい傾向にあったと報告しています。一方で、部屋を「落ち着く」「静か」と表現した人ほど、夕方に向けてホルモンが穏やかに整っていったそうです。片づけは単なる見た目の問題ではなく、一日の疲れがきちんと回復するかどうかにまで、静かに関わっているのかもしれません。

私自身、創業してからしばらくは、仕事に追われて卓上に郵便物や試作品が積み上がったまま、何日も過ごすことがありました。片づけようと思うほど気が重くなり、結局手をつけられない――そんな悪循環のなかで、ふと空いた場所に花を一輪だけ置いたとき、そこだけ息ができるような感覚を覚えたことを、今でも思い出します。

全部でなく、一角だけの余白を

部屋全体を片づけようとすると、かえって腰が重くなります。今日は、卓上や玄関のほんの一角――30センチ四方ほどのスペースだけを、3分でいいので空けてみてください。そこには何も置かないか、あるいは一輪の花と、ひとしずくの香りだけを置く。その小さな余白が、部屋全体の印象を変え、帰宅したときの息の抜き方まで、少しずつ変えてくれます。

私たちが花や香りとともにある暮らしをご提案しているのは、ものを増やすためではなく、むしろ視界のなかに余白をつくるためです。片づいた一角にそっと置かれた一輪は、部屋の余白であると同時に、心の余白でもある。そこに愛おしいものだけを選び取っていくことこそ、私たちが「愛にかたちを与える」と呼んでいる営みの、いちばん小さな実践なのだと思います。

参考:Saxbe, D. E., & Repetti, R.(2010)「No Place Like Home: Home Tours Correlate With Daily Patterns of Mood and Cortisol」Personality and Social Psychology Bulletin, 36(1)