Céléjour
香りのこと

記憶と香りの、ちいさな科学

ふとすれ違った香りで、何年も前の情景が一瞬でよみがえる──誰にでも覚えのあるこの現象は、作家プルーストの小説の一場面にちなんで「プルースト効果」と呼ばれています。

これには理由があります。視覚や聴覚の情報が脳のいくつもの中継地点を経由するのに対し、嗅覚だけは、記憶を司る海馬と感情を司る扁桃体に、ほとんど直接つながっているのです。香りが「思い出す」より先に「感じさせる」のは、この近道のせいです。

この仕組みは、逆向きにも使えます。つまり、残したい時間にあらかじめ香りを添えておくこと。結婚式のブーケに、新居の玄関に、毎晩の読書の時間に、決まった香りをひとつ。香りはその時間の栞になり、何年後かにページを開き直す鍵になります。

Céléjourのブーケやアレンジメントに香りを必ず添えるのは、花を「見るもの」から「時間をとどめるもの」へ変えたいから。今日という一日にも、栞になる香りをひとつ、どうぞ。