Céléjour
暮らしのこと

七夕の過ごし方──大人が願いごとを書くことの、小さな効用

今日、七月七日は七夕。街角の笹に短冊が揺れるのを見かけて、ふと足を止めた方も多いのではないでしょうか。子どもの頃はあんなに真剣に願いごとを書いたのに、大人になった今、自分の願いを言葉にする機会はほとんどありません。けれど七夕の過ごし方として、大人こそ願いごとを書いてみる価値がある──今日はそんなお話です。

願いごとを書くことの、小さな科学

米国の心理学者ローラ・キングの研究チームは、「自分の最良の未来」について一日二十分、四日間書き続けた人たちが、そうでない人たちに比べて気分が上向き、主観的な幸福感が高まったことを報告しています。つらい出来事を振り返るのではなく、望む未来を言葉にすること自体に、心を整える働きが示唆されているのです。願いを書くという行為は、単なる年中行事ではなく、自分が本当に望んでいるものの輪郭を静かに確かめる時間なのかもしれません。

大人の七夕、今夜3分の過ごし方

そもそも七夕は、織姫にあやかって針仕事や書の上達を祈る「乞巧奠(きっこうでん)」という行事に由来すると言われています。つまりはじまりから、大人が自分の技と暮らしのために願う日でもあったのです。だから笹がなくても、短冊でなくても構いません。今夜、お気に入りの一枚のカードに、願いをひとつだけ──できれば「〜しますように」ではなく「〜する」と、自分を主語にして書いてみてください。書き終えたら、花を飾っている場所や鏡のそばなど、毎日目に入るところにそっと置く。それだけで充分な、三分の大人の七夕です。

一年に一度、星を見上げて願いを言葉にする日があるというのは、考えてみれば豊かなことです。書かれた願いは、飾られた花と同じように、日々の景色の中で静かに時間をとどめてくれます。忙しさに流されそうな夜こそ、心に小さな余白を。それが、私たちが花と香りに託しているものでもあります。

参考:King, L. A.(2001)「The Health Benefits of Writing about Life Goals」Personality and Social Psychology Bulletin, 27(7), 798–807