セルフケア
夜の3分、灯りを落として香りをきく
香道の世界では、香りを「嗅ぐ」とは言わず「聞く」と言います。聞香──耳を澄ますように、鼻ではなく心で香りに向き合う、という意味が込められた美しい言葉です。
おすすめしたいのは、眠る前の3分だけ、この「聞く」を暮らしに借りてくること。部屋の灯りをひとつ消して、アロマストーンに精油を1滴。スマートフォンは伏せて、ただ香りのゆくえを追いかけます。
最初の1分は、まだ頭の中で今日の続きが鳴っています。2分目、香りの輪郭が見えてきます。ラベンダーなら、まるい草の甘さの奥に、少しだけ涼しい風。3分目には、呼吸が自然と深くなっていることに気づくはずです。
たった3分と思うかもしれません。でも、一日の終わりに「なにもしない時間」を意識的に置けたという事実そのものが、心の余白になります。香りはそのための、いちばん優しい口実です。